犬猫の心臓病(循環器疾患)専門外来・精査について |神奈川県動物病院|ひらの動物病院

本サイトでは、当院での『心臓病(循環器疾患)専門外来』での検査記録を公開します。心臓病(循環器疾患)専門外来のご相談、ご予約はひらの動物病院:046(272)5300迄、電話にてご連絡ください。尚、当院のご紹介・ご案内は ひらの動物病院ホームページ http://www.hirano-vets.com をご参照ください。宜しくお願い致します。
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# 動脈管開存症

〔検査目的〕近医にて、8年程前(現在11歳齢)に、聴診上、逆流性雑音がある事を指摘され、先天性心奇形であろうと言われていたが、加療はなかった。今回、心臓精査を希望にて当院来院。

〔検査内容〕心エコー検査(カラードップラー心臓超音波検査)

〔投薬内容〕当院来院時より、マレイン酸エナラプリル投与開始済。

〔検査結果〕・エコー中に不整脈無し、心拍数110bpm
・重度のMR(逆流は扇状で左房深部到達)、重度のTR(逆流は線状で右房深部到達(±))、軽度のAR(逆流は弁口部に限局)。由来不明な肺動脈弁口部〜肺動脈分岐部の逆流高速血流あり(連続性逆流、重度のPRもしくはPDA)。左右肺動脈分岐部間に右室方向への血流を伴う管腔がみられる(流速3.74m/sec)
・僧帽弁肥厚(軽度+)、プロラプス(軽度+)、弁尖逸脱(−)、SAM(−)
・三尖弁、肺動脈弁肥厚(軽度+)。大動脈弁に異常なし
・LA:AO=1.7:1.0(軽度の左房拡大) 肺静脈拡大(+、10mm)、左心耳拡大(+)
・右房拡大(±)、後大静脈拡大(−) ・LV-fanc:FS=47〜50%、LVPw:RVw=2.3:1.0
・左室遠心性拡大(+)、右室形態ほぼ正常、LVIDd=31mm
・MV-フロー:Ew=83cm/sec 、減速時間(DT)=60ms、E-slope=先鋭化(+)、 Aw=45cm/sec 、E/A=1.42、等容積拡張時間(IVRT)=54ms、MRフロー=5.95m/sec
・TVフロー:未計測、TRフロー=2.16m/sec
・LVOTフロー:AOv=106cm/sec、PEP=42ms、ET=192ms、PEP/ET=0.22、ARフロー=未計測
・RVOTフロー:PAv=83cm/sec、PEP=54ms、ET=240ms、PEP/ET=0.23、加速時間(AT)=84ms、DT=114ms、PRフロー=5.54m/sec、PS(−) ・PDAフロー=4.05m/sec(肺動脈圧上昇)
・PA:AO=1.6:1.0

動脈管開存症(PDA)とそれに伴う肺動脈高血圧及び重度の肺動脈弁逆流(PR)
軽度の心臓弁膜症とそれに伴う重度の僧帽弁逆流(MR)及び三尖弁逆流(TR)

右室流出路領域において、左右肺動脈分岐部から右室方向へ向かう異常血管が認められる。この血管は動脈管と思われる。動脈管からの血流は肺動脈壁に沿って肺動脈弁口部に到達する。この血流の存在により肺動脈弁バルサルバ洞は拡張して認められる。PDA血流最大流速は低下している。同時に重度PR血流が動脈管血流に連続して認められる。PSは認められない。これらの所見から、PDAとそれに伴う肺動脈高血圧及び重度のPRが疑われる。TR速度は遅く、肺動脈高血圧の影響はTRに関与していないと考える。MRおよびTRは心臓弁膜症に伴うものか、PDAに伴う容量負荷上昇の影響のいずれかであると考える。左右心房拡大は軽度だが、左室遠心性拡大が認められる。弁口部フローは明らかには上昇していないが、肺うっ血が認められる。容量負荷は軽度と考える。弁口部フローから心室圧上昇が疑われる。左房圧上昇所見は明らかではない。内服はACE-I、ジピリダモール、硝酸イソソルビドの併用が勧められる。これらにより弁膜症およびPDAに伴う容量負荷の軽減と肺動脈圧の軽減を目標とする。今後右室求心性肥大が現れる場合、カルベジロール併用検討を要する。



| - | - | 23:29 | category: 動脈管開存症 |
# 僧帽弁閉鎖不全症

〔検査目的〕3年前に里親会で譲渡を受けて自宅に迎えたが、一般外来にて逆流性雑音が聴取され、心エコー検査を実施。主たる病態として中等度〜重度の僧帽弁閉鎖不全症と判断し投薬開始済。定期検査(前回検査9カ月前)。

〔検査内容〕心エコー検査(カラードップラー心臓超音波検査)

〔投薬内容〕マレイン酸エナラプリル・ジキタリス・硝酸イソソルビド・ジピリダモール、他、シクロスポリン・ウルソデオキシコール酸

〔検査結果〕エコー中に不整脈無し、心拍数100〜130bpm
重度のMR(逆流は左房内ほぼ全域)、重度のTR(逆流は右房内全域)、中等度〜重度のAR(逆流は扇状で僧帽弁後尖先端に到達)
僧帽弁肥厚(+)、弁閉鎖位置は弁輪レベル、プロラプス(±)、弁尖逸脱(前尖軽度+)
三尖弁肥厚(+)、弁閉鎖位置は弁輪レベル、プロラプス(++)、弁尖逸脱(−)。大動脈弁形態に異常なし
LA:AO=2.99:1.00(重度の左房拡大、進行) 肺静脈拡大(+、12.3mm)、左心耳拡大(+)。右房拡大(+)、右心耳拡大(+)、後大静脈拡大(+)
LV-fanc:FS=40〜41%、LVPw:RVw=2:1
左室遠心性拡大(+)、右室遠心性拡大(+)、LVIDd=32.7mm
MV-フロー:Ew=130cm/sec Aw=109cm/sec 、E/A=1.19、等容積拡張時間=30ms、MRフロー=570cm/sec(前回より低下)
TVフロー:Ew=44cm/sec Aw=45cm/sec 、E/A=1.0、TRフロー=313cm/sec
LVOTフロー:AOv=93cm/sec、PEP=54ms、ET=162ms、PEP/ET=0.33
RVOTフロー:PAv=47cm/sec、PEP=36ms、ET=180ms、PEP/ET=0.2、加速時間=60ms 、減速時間=126ms
PA:AO=1:1

中等度の心臓弁膜症およびそれに伴う重度の僧帽弁逆流(MR)、重度の三尖弁逆流(TR)、中等度以上の大動脈弁逆流(AR) / 前回までの検査と同様に弁膜症が認められ、それに伴ってMR、TR、ARが見られる。僧帽弁逆流(MR)、前尖の1次腱索部分断裂もしくは2次腱索断裂が認められれる。前回検査時と比較して、左心系についてはMVフロー上昇、左房拡大進行、ARフロー低下、MRフロー低下などの所見から、左室圧上昇、容量負荷上昇、左房圧上昇が疑われる。右心系の循環動態に大きな変化は認められない。右室求心性肥大が認められない事から、肺動脈高血圧はないと考える。心不全は代償期から不全期への移行期と考えられる。前回検査時と比較して悪化傾向がある。内科的治療の増強が必要であると判断される。ジゴキシンが十分な血中濃度に達していない場合、ジゴキシンの増量、用量負荷軽減のために、スピロノラクトン、フロセミド低用量の併用開始が勧められる。



| - | - | 08:28 | category: 僧帽弁閉鎖不全症 |
# 大動脈弁狭窄症

〔検査目的〕当院での心臓病(循環器)専門外来において主たる病態は大動脈弁狭窄症であると判断。前回定期検査(1ヶ月前)において、急性肺水腫発現の高い可能性を指摘し内服強化を開始したが、肺水腫を頻発。入院治療による全身状態の安定後、自宅での酸素室設置とともにニトログリセリン常備を指示。

〔検査内容〕心エコー検査(カラードップラー心臓超音波検査)

〔投薬内容〕マレイン酸エナラプリル・カルベジロール・硝酸イソソルビド・フロセミド・ピモベンダン

〔検査結果〕前回と同様の異常所見が認められる
エコー中に洞性頻脈あり、心拍数200〜250bpm
異常血流が依然として6ヶ所認められる
(1)重度のMR(逆流は線状で左房深部到達+)
(2)重度のMS(逆流は扇状で左室深部到達+)
(3)重度のAS
(4)中等度のAR(逆流は僧帽弁前尖先端まで到達、線状)
(5)軽度のTR(逆流は線状で右房深部到達(−)
(6)ごく軽度のPR(逆流は弁口部に限局)を認める

(1)大動脈弁異形成:重度の大動脈狭窄(弁性狭窄、AS)、中等度の大動脈弁逆流(AR)
(2)僧帽弁異形成:中等度以上の僧帽弁狭窄(MS)、重度の僧帽弁逆流(MR)
(3)後天性心疾患:軽度の三尖弁逆流(TR)、軽度の肺動脈弁逆流(PR)

・僧帽弁肥厚(+)、僧帽弁開口不全あり(弁尖癒着、間隙1.5mm)、プロラプス(−)、弁尖逸脱(−)、SAM(−)。大動脈弁3枚が肥厚し癒着
・LA:AO=3.3:1.0(重度の左房拡大、前回より大幅に悪化) 肺静脈拡大(+、10mm以上)、左心耳拡大(++)、左房内血栓(−)。右房拡大(−)、後大静脈拡大(−)
・LV-fanc:FS=53〜57%、LVPw:RVw=3.0以上:1.0(重度の左室肥大)
・左室遠心性拡大(−)、左室求心性肥大(+)、右室形態正常
・LVPWd=最大6.6mm、IVSd=6.4mm、LVIDd=最大18.7mm
・MV-フロー:MS血流とAR血流の影響で正常なEw,Awは描出できない、MRフロー=539cm/sec(前回より減速)、MSフロー=226cm/sec(前回より減速)
・TVフロー=未計測、TRフロー=計測困難
・LVOTフロー:ASv=548cm/sec、ARv=370cm/sec、AOv=評価不能
・RVOTフロー:PAv=83cm/sec、PEP=36ms、ET=186ms、PEP/ET=0.19、加速時間=66ms 、減速時間=114ms
・PA:AO=1:1

僧帽弁および大動脈弁の先天性形成異常が認められ、同時に僧帽弁及び三尖弁には弁膜症も合併する。これらに伴って多方向への異常血流が認められる。大動脈弁異形成に伴う左室圧負荷上昇と、僧帽弁異型性に伴う左室容量負荷が同時に存在する。圧負荷上昇の結果、左室求心性肥大がみられ、容量負荷上昇の結果、左房拡大、肺静脈拡大がみられる。心不全は代償期であり、リモデリングは強く認められる。これらの所見は基本的には前回検査時と同様である。しかし今回は左心系の血行動態の悪化が認められ、左心不全の進行が疑われる。今回の検査では、MR流速の低下、MS流速の低下、左房拡大の進行がみられ、左房圧上昇が悪化して認められる。同時に反復的に肺水腫を起こしているため、内服はACE-I、カルベジロール、硝酸イソソルビド、フロセミド低用量、ピモベンダンの現状からフロセミド高用量、スピロノラクトン併用への変更が必要であると考える。今後はカルシウムチャネルブロッカー、トラセミドの開始検討を要する。急性の不整脈、心筋虚血、心拍出不全により、突然死を起こす危険性が考えられ、経過に厳重な注意を要する必要がある。



| - | - | 20:45 | category: 大動脈弁狭窄症 |
# 僧帽弁閉鎖不全症

〔検査目的〕逆流性雑音が聴取されるとの事で、一年前からACE-Iを内服継続中。一週間程前から咳がひどく出るようになり、近医を受診。ケンネルコフとの判断を受け、投薬治療を開始したが、咳が治まらず、食欲・元気に低下が認められた為、来院。一般検査にて急性肺水腫と判断し、加療開始。全身状態の安定後、心臓精査。

〔検査内容〕心エコー検査(カラードップラー心臓超音波検査)

〔投薬内容〕塩酸ベナゼプリル・硝酸イソソルビド・トラセミド

〔検査結果〕エコー中に不整脈無し、心拍数120〜150bpm
重篤なMRを認める(逆流は肺静脈内に到達)、中等度のTRを認める(逆流は線状で、右房深部到達(±))、ごく軽度のPRを認める
僧帽弁肥厚(++、疣贅形成+)、弁閉鎖位置は左房内、弁尖逸脱(−)。三尖弁肥厚(±)、弁閉鎖位置は弁輪レベル
LA:AO=1.55〜1.75:1.00(軽度の左房拡大)、肺静脈拡大=12mm、左心耳拡大軽度(+)
右房拡大(−)、後大静脈拡大(−)
LV-fanc:FS=60%前後、LVPw:RVw=2:1
左室遠心性拡大(++)、右室形態ほぼ正常、LVIDd=29〜30mm
MV-フロー:Ew=128cm/sec Aw=89cm/sec 、E/A=1.43、等容積拡張時間=42ms、MRフロー=470cm/sec(PG=88mmHg)
TVフロー:未計測、TRフロー未計測(次回要計測)
LVOTフロー:AOv=60cm/sec(不正確)、PEP=36ms、ET=156ms、PEP/ET=0.23
RVOTフロー:PAv=35cm/sec(参考情報)、PEP=54ms、ET=192ms、PEP/ET=0.41、加速時間=78ms 、減速時間=120ms
PA:AO=1:1

重度の心臓弁膜症に伴う重篤な僧帽弁逆流(MR)、中等度の三尖弁逆流(TR) / 弁膜症は重度であり、それに伴い重篤なレベルのMRがみられる。TRは中等度。僧帽弁口部フローは重度に上昇しており、肺静脈は明らかに拡張して認められる。さらに左心室の遠心性拡大も重度であることから容量負荷上昇が明らかだが、左房拡大は軽度。この矛盾は現在入院治療中のため、心不全の程度を過小評価していることが原因とも考えられる。大動脈流速は明らかに低下しており、左室拍出不全が示唆されるが、現段階では、確定的な判断には至らない。真の拍出低下である考えると、心不全は不全期であり、短期的予後に厳重な警戒が必要であると考える。心不全の重症度はISACHC クラス3bと判定する。入院中の治療はドブタミン、ミルリノン、低用量ドパミン、アクトシンを中心とするのが好ましいと考える。今後の内服は、現在の内容に加えて、フロセミドTID常用もしくはトラセミドへ、スピロノラクトン、ジゴキシンの併用が勧められる。肺水腫の発現が日常的である場合、ピモベンダンの追加が検討される。



| - | - | 19:11 | category: 僧帽弁閉鎖不全症 |
# 大動脈弁狭窄症

〔検査目的〕幼若期より逆流性雑音が聴取されており、他vetにて先天性心奇形として血管拡張剤の投薬を受けていた。心臓精査希望にて当院来院。心エコー検査にて、主たる病態は動脈弁狭窄症であると判断。一カ月程前から興奮時に、咳が認められるとのことで検査希望(前回検査10ヶ月前)。

〔検査内容〕心エコー検査(カラードップラー心臓超音波検査)

〔投薬内容〕マレイン酸エナラプリル

〔検査結果〕エコー中に洞性頻脈あり、心拍数200〜245bpm
異常血流が6ヶ所認められる
(1)重度のMR(逆流は線状で左房深部到達+)
(2)重度のMS(逆流は扇状で左室深部到達+)
(3)中等度のAS
(4)中等度のAR(逆流は僧帽弁逆流(MR)前尖先端まで到達、線状)
(5)中等度のTR(逆流は線状で右房深部到達(−)
(6)ごく軽度のPR(逆流は弁口部に限局)を認める

僧帽弁肥厚(+)、僧帽弁開口不全あり(弁尖癒着)、プロラプス(−)、弁尖逸脱(−)、
SAM(−)。大動脈弁左右尖が肥厚し癒着している
LA:AO=2.4:1.0(中等度の左房拡大) 肺静脈拡大(+、10mm以上)、左心耳拡大(+
+)、左房内血栓(−)。右房拡大(−)、後大静脈拡大(−)
LV-fanc:FS=51〜63%、LVPw:RVw=3.0以上:1.0(重度の左室肥大)
左室遠心性拡大(−)、左室求心性肥大(軽度+)、右室形態正常
LVPWd=7.5〜8.4mm、IVSd=6.4〜8.2mm、LVIDd=13.9〜17.5mm
MV-フロー:MS血流とAR血流の影響で正常なEw,Awは描出できない、
MRフロー=563cm/sec(PG=127mmHg)、MSフロー=330cm/sec(PG=43.5mmHg)
TVフロー=未計測、TRフロー=計測困難
LVOTフロー:ASv=539cm/sec(PG=116mmHg)、AOv=評価不能
RVOTフロー:PAv=88cm/sec、PEP=36ms、ET=210ms、PEP/ET=0.17、加速時間=60ms、減速時間=138ms
PA:AO=1:1

(1)大動脈弁異形成:中等度の大動脈狭窄(弁性狭窄、AS)、中等度の大動脈弁逆流(AR)
(2)僧帽弁異形成:中等度以上の僧帽弁狭窄(MS)、重度の僧帽弁逆流(MR)
(3)後天性心疾患:軽度の三尖弁逆流(TR)、軽度の肺動脈弁逆流(PR)

複数の弁に先天性形成異常があり、同時に弁膜症も合併して認められる。これらに伴い多方向への異常血流が認められる。大動脈弁異形成に伴う左室圧負荷上昇と、僧帽弁異型性に伴う左室容量負荷が同時に存在する。圧負荷上昇の結果、左室求心性肥大がみられ、容量負荷上昇の結果、左房拡大、肺静脈拡大がみられる。これらに対して同時に治療方針をたてる事は困難であり、血行動態のバランスを整える事が治療方針として優位であると考える。心不全は代償期であり、リモデリングは強く認められる。内服は、ACE-Iに追加してカルベジロール併用開始による内服強化が強く勧められる。。その後、カルシウムチャネルブロッカー、硝酸イソソルビド、スピロノラクトン、フロセミド低用量の併用開始を検討する必要があると考える。


| - | - | 22:38 | category: 大動脈弁狭窄症 |
# 僧帽弁閉鎖不全症

〔検査目的〕主たる病態を僧帽弁閉鎖不全症とするうっ血性心不全(重度の心臓弁膜症に伴う重篤なMR、重度のTR、中等度のPR、心嚢水貯留(少量))の定期検査(前回検査1ヶ月前)

〔検査内容〕心エコー検査(カラードップラー心臓超音波検査)

〔投薬内容〕塩酸ベナゼプリル・トラセミド・スピロノラクトン・ピモベンダン・カルベジロール

〔検査結果〕エコー中に不整脈有り(散発性の上室性期外収縮)、心拍数140〜160bpm
著しいMRを認める(逆流は左房内全域)、重度のTRを認める(逆流は右房内広範、後大静脈までの逆流は消失)、中等度のPRを認める(逆流は扇状)
僧帽弁肥厚(++)、プロラプス(+)、弁閉鎖位置は弁輪レベル、弁尖逸脱((±)であるが弁尖間隙が3mm程度開口している)
三尖弁肥厚(+)、肺動脈弁肥厚(+)
LA:AO=最大2.6:1.0(重度の左房拡大、改善)、肺静脈拡大(++、13.3mm、改善)、左心耳拡大(++)、
左房内スモークサイン(±))。右房拡大(+)、右心耳拡大(+)、後大静脈拡大(+)
LV-fanc:FS=48〜55%(前回より上昇)、LVPw:RVw=2.0:1.0(左室収縮性低下改善、左室菲薄化改善)
左室遠心性拡大(++)、右室遠心性拡大(+)、LVIDd=42mm(前回より拡張)
MV-フロー:Ew=175cm/sec Aw=46cm/sec 、E/A=3.79、等容積拡張時間=48ms、MRフロー=529cm/sec
TVフロー:Ew=97cm/sec、Aw=65cm/sec 、E/A=1.49、TRフロー=262cm/sec(肺高血圧の軽減)
LVOTフロー:AOv=94cm/sec、PEP=36ms、ET=156ms、PEP/ET=0.23(左室収縮性改善)
RVOTフロー:PAv=102cm/sec、PEP=30ms、ET=126ms、PEP/ET=0.24、加速時間=42ms 、減速時間=90ms
PA:AO=1:1 *心嚢水少量貯留あり

重度の心臓弁膜症に伴う重篤なMR、重度のTR、中等度のPR 、心嚢水貯留(少量) / 重度の弁膜症に伴い重篤なMRと重度のTR、中等度のPRが認められる。左房拡大、肺静脈拡大の所見から容量負荷上昇は軽減していると判定されるが、MVフローのみは
前負荷上昇を示唆している。肺うっ血は明らかだが、軽減しており肺動脈高血圧は改善している。MRフローから、左房圧上昇の軽減が示唆される。依然として日常的な肺水腫のリスクが高い状態であると考える。三尖弁口部フロー、右房拡大の所見から、右心系容量負荷も軽減している。TR流速、PR流速から、肺動脈高血圧は改善したと判定される。左右心室の収縮性低下も改善している。依然として腹水、心嚢水貯留のリスクは高いと考える。前回心電図で見られた洞性頻脈と拍出欠損は消失しいるが、上室性期外収縮が認められる。今回の改善はピモベンダン、スピロノラクトン開始、トラセミドへの変更のすべてが奏功した影響と考える。内服は現状を維持、あるいは興奮時等に発咳を認めらる場合は、スピロノラクトンもしくはトラセミドの軽度増量が勧められる。今後は硝酸イソソルビド、スピロノラクトン増量、トラセミド増量、ジゴキシンの併用が考慮される。また、腹水貯留、心嚢水貯留の軽減にはヒドロクロロチアジドの併用も考慮される。

| - | - | 18:57 | category: 僧帽弁閉鎖不全症 |
# 僧帽弁閉鎖不全症

〔検査目的〕13ヶ月前、一般外来にて逆流性雑音が聴取され、心エコー検査の結果、僧帽弁閉鎖不全症と判断。血管拡張剤の内服開始の上、定期検査により病態確認)。マレイン酸エナラプリル、硝酸イソソルビドの内服経過中に急性肺水腫を発現。対症療法にて全身状態安定の上、血行動態確認のため、心臓精査(前回検査6ヶ月前。現在、日常生活には問題がないが、興奮して走り回るとゼェゼェとした咳が出るとの事。

〔検査内容〕心エコー検査(カラードップラー心臓超音波検査)

〔投薬内容〕マレイン酸エナラプリル・硝酸イソソルビド・ラシックス

〔検査結果〕エコー中に不整脈無し、心拍数120〜130bpm
重篤なMRを認める(逆流は左房内全域〜肺静脈内に及ぶ)、中等度〜重度のTRを認める(逆流は線状で右房深部到達(±))
僧帽弁肥厚(+)、プロラプス(++)、弁尖逸脱(+、前尖1次腱索断端も逸脱)
三尖弁肥厚(+)、プロラプス(+)、弁尖逸脱(−)
LA:AO=2.7:1.0(中等度〜重度の左房拡大、進行) 肺静脈拡大(++、11.6mm)、左心耳拡大(+)
右房拡大(−)、後大静脈拡大(±)
LV-fanc:FS=62〜64%(前回よりさらに過剰)、LVPw:RVw=2:1
左室遠心性拡大(++)、右室形態ほぼ正常、LVIDd=30.5mm
MV-フロー:Ew=137cm/sec Aw=117cm/sec 、E/A=1.17、等容積拡張時間=54ms、MRフロー=539cm/sec
TVフロー:Ew=75cm/sec Aw=70cm/sec 、E/A=1.07、TRフロー=計測困難
LVOTフロー:AOv=114cm/sec、PEP=30ms、ET=126ms、PEP/ET=0.24
RVOTフロー:PAv=80cm/sec、PEP=36ms、ET=168ms、PEP/ET=0.21、加速時間=66ms、減速時間=138ms
PA:AO=1:1

重度の心臓弁膜症に伴う僧帽弁前尖の1次腱索断裂・重篤なMRおよび重度のTRを認める / 心臓弁膜症は重度であり、僧帽弁前尖の1次腱索断裂所見が認められる。これに伴い重篤なMR及び重度のTRが認められる。前回検査時と比較して、僧帽弁口部フローには明らかな改善は認められず、左房拡大が進行していることから、容量負荷は重
度の状態が継続していると考える。これにより、左房圧、左室圧が重度に上昇していると判断される。また、肺静脈拡張が明らかであり、肺うっ血が存在すると考える。肺動脈高血圧は現時点では明らかではない。容量負荷のさらなる軽減が必須であると考えられ、現段階においても日常的な肺水腫のリスクが非常に高い状態といえる。心不全は代償期だが、不全期に近い状況にあると推察される。




| - | - | 01:01 | category: 僧帽弁閉鎖不全症 |
# 僧帽弁閉鎖不全症

〔検査目的〕13ヶ月前に急性肺水腫にて来院。対症的な処置とともに心エコー検査を実施し、僧帽弁閉鎖不全症と判断。日常投与開始の上、定期検査(前回検査6ヶ月前)

〔検査内容〕心エコー検査(カラードップラー心臓超音波検査)

〔投薬内容〕塩酸ベナゼプリル・硝酸イソソルビド・トラセミド・ピモベンダン

〔検査結果〕エコー中に不整脈無し、心拍数110bpm
重度のMRを認める(逆流は自由壁側を中心に左房内広範囲)、中等度のTRを認める(逆流は線状で右房深部到達なし)
僧帽弁肥厚(+)、弁閉鎖位置は弁輪レベル、プロラプス(±)、弁尖逸脱(−)
三尖弁肥厚(±)、弁閉鎖位置は弁輪レベル
LA:AO=2.0:1.0(軽度の左房拡大、悪化なし) 肺静脈拡大(−、6.1mm)、左心耳拡大軽度(+)
右房拡大(−)、後大静脈拡大(−)
LV-fanc:FS=45〜47%(前回より低下)、LVPw:RVw=2:1
左室遠心性拡大(+)、右室形態ほぼ正常、LVIDd=25.4mm
MV-フロー:Ew=106cm/sec Aw=117cm/sec 、E/A=0.91、等容積拡張時間=54ms、MRフロー=548cm/sec
TVフロー:Ew=37cm/sec Aw=59cm/sec、TRフロー=計測困難
LVOTフロー:AOv=85cm/sec、PEP=30ms、ET=210ms、PEP/ET=0.14
RVOTフロー:PAv=53cm/sec、PEP=36ms、ET=198ms、PEP/ET=0.18、加速時間=66ms 、減速時間=144ms
PA:AO=1:1

中等度の心臓弁膜症に伴う重度のMR、中等度のTR / 中程度の心臓弁膜症が認められ、それに伴い重度のMRと中等度のTRが認められる。左房拡大の程度は前回と同様であるが、僧帽弁口部フローが上昇傾向にある。この所見は容量負荷の増加を示唆する。また、僧帽弁口部フローおよび三尖弁口部フローにおいてE/Aの逆転が認められることから、拡張末期左室内圧の上昇もしくは左室拡張性低下が発現し始めた可能性が考えられる。リモデリングは明らかであり、心不全は代償期である。内服は現在のACE-I、硝酸イソソルビド、ピモベンダン、トラセミドに加えてカルベジロールの開始により左室拡張性の改善、左室内圧減少、血管拡張、リモデリング抑制を期待する。今後、スピロノラクトンの併用開始の検討が必要と考える。



| - | - | 22:52 | category: 僧帽弁閉鎖不全症 |
# 僧帽弁閉鎖不全症

〔検査目的〕2ヶ月程前から咳が出始め、近位にてレントゲン検査を実施。心肥大を指摘され、血管拡張剤、利尿剤、気管支拡張剤が処方されている。10日程前からお腹が張っており、数回嘔吐した、との事で来院。血液検査の結果から、重度の肝機能不全、高窒素血症認められ、加療開始の上、本日、心臓精査実施。

〔検査内容〕心エコー検査(カラードップラー心臓超音波検査)

〔投薬内容〕塩酸ベナゼプリル・ラシックス

〔検査結果〕エコー中に不整脈有り(重度の洞性頻拍に伴う拍出欠損)、心拍数230bpm
著しいMRを認める(逆流は左房内全域)、重度のTRを認める(逆流は右房内広範、後大静脈までの逆流あり)、中等度のPRを認める(逆流は扇状)
僧帽弁肥厚(++)、プロラプス(+)、弁閉鎖位置は弁輪レベル、弁尖逸脱((±)であるが弁尖間隙が3mm程度開口している)
三尖弁肥厚(+)、肺動脈弁肥厚(+)
LA:AO=2.96:1.0(重度の左房拡大)、肺静脈拡大(++、14.5mm)、左心耳拡大(++)、左房内スモークサイン+)。右房拡大(+)、右心耳かくだい(+)、後大静脈拡大(+)
LV-fanc:FS=33%、LVPw:RVw=1.5:1.0(左室収縮性低下、左室菲薄化)
左室遠心性拡大(++)、右室遠心性拡大(+)、LVIDd=38mm
MV-フロー:Ew=116cm/sec Aw=66cm/sec 、E/A=1.76、等容積拡張時間=36ms、MRフロー=496cm/sec
TVフロー:Ew=102cm/sec、Aw=50cm/sec 、E/A=2.02、TRフロー=346cm/sec
LVOTフロー:AOv=90cm/sec、PEP=42ms、ET=174ms、PEP/ET=0.27
RVOTフロー:PAv=84cm/sec、PEP=48ms、ET=150ms、PEP/ET=0.32、加速時間=42ms 、減速時間=108ms
PA:AO=1:1 *心嚢水少量貯留あり

重度の心臓弁膜症に伴う重篤なMR、重度のTR、中等度のPR心嚢水貯留(少量) / 重度の弁膜症が認められる。重篤なMRと重度のTR、中等度のPRが認められ、僧帽弁口部フロー、左房拡大、肺静脈拡大の所見から容量負荷上昇は重篤と考えられる。肺うっ血も明らかであり、MRフローから、左房圧上昇傾向が示唆される。これらの所見から、日常的な肺水腫のリスクが高い状態と考える。三尖弁口部フロー、右房拡大の所見から、右心系容量負荷も重度と考えられる他、TR流速、PR流速から、肺動脈高血圧が存在すると考えられる。左右心室の収縮性は低下しており、特に右心室収縮性の低下が顕著に認められる。今後も腹水、心嚢水貯留のリスクが高いと考える。心電図上は洞性頻脈ですが、実際には拍出欠損が認められる。頻脈に伴う拍出不全と診断する。内服はACE-I、硝酸イソソルビド、スピロノラクトン、フロセミド、カルベジロール(もしくはジゴキシン)の併用が勧められる。腹水貯留の軽減にはヒドロクロロチアジドの併用も有効であると考える。



| - | - | 03:45 | category: 僧帽弁閉鎖不全症 |
# 肥大型心筋症

〔検査目的〕肥大型心筋症の定期検査(前回検査12か月前) 

〔処方内容〕塩酸ベナゼプリル・アテノロール・ジルチアゼム塩酸塩

〔検査内容〕心エコー検査(カラードップラー心臓超音波検査)

〔検査結果〕エコー中に不整脈無し、心拍数140bpm
逆流所見なし
各弁の形態、運動性に明らかな異常なし。SAM(−)
LA:AO=1.6〜1.7:1.0(左房拡大±) 肺静脈拡大(−)、左心耳拡大(−)、左房内血栓(−)
右房拡大(−)、後大静脈拡大(−)
LV-fanc:FS=60〜69%、LVPw:RVw=2:1
左室遠心性拡大(−)、左室求心性肥大(+)、右室形態正常、LVOT狭窄(−)
LVPWd=6.0mm、IVSd=6.4mm、LVIDd=11.2mm
MV-フロー:Ew=63cm/sec Aw=54cm/sec 、E/A=1.17、等容積拡張時間=未計測
TVフロー:未計測(正常)
LVOTフロー:AOv=85cm/sec、PEP=48ms、ET=216ms、PEP/ET=0.22
RVOTフロー:PAv=64cm/sec、PEP=42ms、ET=234ms、PEP/ET=0.18、加速時間=102ms 、減速時間
=144ms
PA:AO=1:1

心室中隔壁厚及び左室自由壁厚の所見から、肥大型心筋症と診断される。左心室拡張末期径は狭小化して認められるが、FSおよび僧帽弁口部フローを見る限りでは収縮性の亢進は前回検査時と比較して軽減している。左心房拡大は明らかではなく、僧帽弁口部フローを考慮しても左心系容量負荷の上昇はほとんどないと考える。これらの所見から、現時点では内服によって安定した状態が維持されていると考える。





| - | - | 10:15 | category: 肥大型心筋症 |
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