犬猫の心臓病(循環器疾患)専門外来・精査について |神奈川県動物病院|ひらの動物病院

本サイトでは、当院での『心臓病(循環器疾患)専門外来』での検査記録を公開します。心臓病(循環器疾患)専門外来のご相談、ご予約はひらの動物病院:046(272)5300迄、電話にてご連絡ください。尚、当院のご紹介・ご案内は ひらの動物病院ホームページ http://www.hirano-vets.com をご参照ください。宜しくお願い致します。
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# 僧帽弁閉鎖不全症/大動脈体腫瘍疑い

(検査目的)3ヶ月程前の一般外来において、僧帽弁弁口部領域を最強点とした逆流性雑音が聴取され、ACE-Iの服用を開始済。今回、血行動態を把握のため、心臓病専門外来にて心臓精査。

(検査内容)心エコー検査(カラードップラー心臓超音波検査)

(投薬内容)マレイン酸エナラプリル

(検査結果)・エコー中に不整脈無し、心拍数100〜130bpm
・重度のMRを認める(逆流は左房内全域)、重度のTRを認める(逆流は扇状で右房深部到達+)、軽度のARを認める(逆流は弁口部に限局)
・僧帽弁所見肥厚(++)、プロラプス(+)、弁尖逸脱(−)、SAM(−)
・三尖弁肥厚(+)、弁閉鎖位置は弁輪レベル
・LA:AO=2.4:1.0(中等度の左房拡大)、肺静脈拡大(+、13.7mm)、左心耳拡大(+)
・右房拡大(−)、後大静脈拡大(−)
・LV-fanc:FS=53〜55%、LVPw:RVw=1.9:1.0
・左室遠心性拡大(軽度+)、左室求心性肥大(−)、右室形態正常、LVIDd=35mm
・MV-フロー:Ew=113cm/sec 、減速時間(DT)=114ms、E-slope=平坦化・先鋭化(−) Aw=64cm/sec 、E/A=1.75、等容積拡張時間(IVRT)=72ms、MRフロー=5.70m/sec
・TVフロー:Ew=63cm/sec 、DT=132ms、E-slope=平坦化・先鋭化(−)、 Aw=34cm/sec 、E/A=1.07、TRフロー=1.49m/sec
・LVOTフロー:AOv=96cm/sec、PEP=48ms、ET=120ms、PEP/ET=0.4(左室収縮性低下)、ARフロー=計測困難v・RVOTフロー:PAv=53cm/sec、PEP=36ms、ET=204ms、PEP/ET=1.8(右室収縮性亢進)、加速時間(AT)=84ms 、DT=114ms ・PA:AO=1:1

1.中等度以上の心臓弁膜症に伴う重度な僧帽弁逆流(MR)、中等度の三尖弁逆流(TR)、軽度のP大動脈弁逆流(AR)
2.心基底部腫瘤を認める(大動脈体由来腫瘍性疾患を疑う)

1.中等度以上の心臓弁膜症が認めらる。それに伴い、重度のMR、重度のTR、軽度のARが認められる。最も臨床的に問題となるのはMRです。左房拡大は中等度であり、僧帽弁口部フローも上昇して認められる事から、左心系前負荷上昇は明らかである。左室の遠心性拡大は現時点では軽度だが、左心室の収縮性が低下して認められる。肺静脈うっ血傾向が認められ、肺うっ血が示唆される。心不全は代償期であり、心不全分類はISACHC クラス1b〜2と判定される。リモデリングが認められることから内科的治療の強化が必要であると考える。現時点のACE−Iに追加して、カルベジロールを低用量から開始し、規定量に到達した後に硝酸イソソルビドを追加することが勧められる。

2.心臓の基底部に腫瘤が認められる。この腫瘤は大動脈起始部及び左心房基底部に挟まれるようにして存在しており、その発生部位から大動脈体腫瘍が第一に疑われる。右心房、右心耳との関連性がないため、血管肉腫の可能性は低いと考えるが、完全には否定できない。良性腫瘍含め、その他の腫瘍性病変の可能性も疑われる。現時点では血行動態への影響は認められないが、今後腫瘤が増大すると重大な心不全を引き起こす可能性がある。また、腫瘤から出血した場合、心嚢水貯留を認める可能性がある。今後の経過に厳重な注意が必要であると考える。



| - | - | 13:31 | category: 僧帽弁閉鎖不全症 |
# 僧帽弁閉鎖不全症

(検査目的)急性肺水腫(多発性)発現後、心臓病専門外来にて、主たる病態を僧帽弁閉鎖不全症と判断。投薬開始後の定期検査(前回検査3ヶ月前)。

(検査内容)心エコー検査(カラードップラー心臓超音波検査)

(投薬内容)塩酸ベナゼプリル・ピモベンダン・硝酸イソソルビド・トラセミド・カルベジロール

(検査結果)エコー中に不整脈無し、心拍数80〜100bpm
重度のMRを認める(逆流は自由壁側を中心に左房内広範囲)、中等度のTRを認める(逆流は線状で右房深部到達なし)
僧帽弁肥厚(+)、弁閉鎖位置は弁輪レベル、プロラプス(±)、弁尖逸脱(−)
三尖弁肥厚(±)、弁閉鎖位置は弁輪レベル
LA:AO=1.7〜1.8:1.0(軽度の左房拡大、軽減) 肺静脈拡大(−、6.0mm、悪化なし)、左心耳拡大軽度(+)
右房拡大(−)、後大静脈拡大(−)
LV-fanc:FS=58〜60%(前回より上昇)、LVPw:RVw=2:1
左室遠心性拡大(+)、右室形態ほぼ正常、LVIDd=25.4mm
MV-フロー:Ew=93cm/sec Aw=91cm/sec 、E/A=1.02、等容積拡張時間=48ms、MRフロー=595cm/sec
TVフロー:Ew=37cm/sec Aw=59cm/sec、TRフロー=2.43m/sec
LVOTフロー:AOv=100cm/sec、PEP=24ms、ET=174ms、PEP/ET=0.14(過剰収縮)
RVOTフロー:PAv=75cm/sec、PEP=30ms、ET=210ms、PEP/ET=0.14(過剰収縮)、加速時間=73ms、減速時間=132ms
PA:AO=1:1

中等度の心臓弁膜症に伴う重度のMR、中等度のTR
心不全は軽度改善傾向

依然として中程度の心臓弁膜症が認められる。それに伴い重度のMRと中等度のTRが認められる。左房拡大の程度、僧帽弁口部フロー、心拍数が前回より軽減傾向にある。またMR流速は上昇して認められる。この所見は容量負荷の減少と左房圧軽減を示唆する。心不全は軽度に改善傾向であると判断する。僧帽弁口部フローおよび三尖弁口部フローにおいてE/Aの逆転傾向が認められることから、左室拡張性低下が発現し始めた可能性が考えられるが、進行は認められない。心室収縮性が前回より亢進して認められる。心不全は代償期であり、心不全分類はISACHC クラス2と判定される。今回の検査結果からは、カルベジロールによる左室拡張性の改善、左室内圧減少、左房圧減少が認められたものと考える。内服は現在のACE-I、硝酸イソソルビド、ピモベンダン、トラセミド、カルベジロールの維持が勧められる。今後、容量負荷の増加が認められた場合は、スピロノラクトンの併用開始が検討対象となる。




| - | - | 21:38 | category: 僧帽弁閉鎖不全症 |
# 僧帽弁閉鎖不全症

(検査目的)トリミングにて来院時、僧帽弁弁口部を最強点とした逆流性雑音が聴取され、ACE-I投与開始の上、心臓病専門外来にて心臓精査実施。

(検査内容)心エコー検査(カラードップラー心臓超音波検査)

(投薬内容)マレイン酸エナラプリル

(検査結果)・エコー中に不整脈無し、心拍数100〜140bpm
・重度のMRを認める(逆流は左房内全域)、重度のTRを認める(逆流は右房内広範)、軽度のPRを認める(逆流は弁口部に限局)
・僧帽弁肥厚(+)、プロラプス(+)、弁尖逸脱(−)
・三尖弁肥厚軽度(+)、プロラプス(+)
・LA:AO=2.0〜2.1:1.0(軽度の左房拡大) 肺静脈拡大(+、8.3mm)、左心耳拡大(軽度+)
・右房拡大(軽度+)、後大静脈拡大(±)
・LV-fanc:FS=40〜41%、LVPw:RVw=2:1
・左室遠心性拡大(+)、右室遠心性拡大(±)、LVIDd=26mm
・MV-フロー:Ew=61cm/sec 、減速時間(DT)=108ms、E-slope=平坦化・先鋭化(−) Aw=78cm/sec 、E/A=0.78、等容積拡張時間(IVRT)=72ms、MRフロー=6.5m/sec
・TVフロー:Ew=55cm/sec 、DT=144ms、E-slope=平坦化(±)、 Aw=54cm/sec 、E/A=1.02、TRフロー=2.97m/sec
・LVOTフロー:AOv=93cm/sec、PEP=30ms、ET=216ms、PEP/ET=0.14
・RVOTフロー:PAv=71cm/sec、PEP=30ms、ET=222ms、PEP/ET=0.14、加速時間(AT)=60ms 、DT=156ms ・PA:AO=1:1

中等度の心臓弁膜症とそれに伴う重度の僧帽弁逆流(MR)および重度の三尖弁逆流(TR)

中等度の心臓弁膜症があり、それに伴い重篤なMRと重度のTRが認められる。左房拡大は軽度であり、肺静脈拡大と左室遠心性拡大を伴って認められる。左心系容量負荷上昇は明確だが軽度と考えられる。左室収縮性の亢進傾向が認められるが、FSの上昇はみられない。左房圧上昇はさほど強くないものと考える。右心系には軽度の容量負荷上昇と右室収縮性の亢進を伴う重度のTRがみられるが、肺高血圧の所見ではないと考える。心不全は代償期であり、心不全分類はISACHC クラス1b と判定される。リモデリングが明らかであり、内科的治療の強化が必要と考える。内服はACE-Iに加えて、カルベジロール、硝酸イソソルビドの併用開始が勧められる。




| - | - | 22:31 | category: 僧帽弁閉鎖不全症 |
# 僧帽弁閉鎖不全症

(検査目的)心臓病専門外来にて、主たる病態を『重度の心臓弁膜症に伴う僧帽弁前尖の1次腱索断裂。重篤な僧帽弁逆流および三尖弁逆流。』と判断の上、定期検査(前回検査三ヶ月前)。

(検査内容)心エコー検査(カラードップラー心臓超音波検査)

(投薬内容)塩酸ベナゼプリル・硝酸イソソルビド・ピモベンダン・トラセミド・スピロノラクトン

(検査結果)エコー中に不整脈無し、心拍数130〜140bpm
重篤なMRを認める(逆流は左房内全域〜肺静脈内に及ぶ)、重度のTRを認める(逆流は右房内広範囲)、軽度のPRを認める(逆流は弁口部周囲に限局)
僧帽弁肥厚(+)、プロラプス(++)、弁尖逸脱(+、前尖1次腱索断端も逸脱)
三尖弁肥厚(+)、プロラプス(+)、弁尖逸脱(−)
LA:AO=2.9〜3.1:1.0(重度の左房拡大、進行) 肺静脈拡大(++、11.8mm)、左心耳拡大(++)
右房拡大(+)、後大静脈拡大(±)
LV-fanc:FS=64〜65%(前回よりさらに過剰)、LVPw:RVw=2:1
左室遠心性拡大(++)、右室形態ほぼ正常、LVIDd=29.5mm
MV-フロー:Ew=167cm/sec Aw=123cm/sec 、E/A=1.36、等容積拡張時間=12ms、MRフロー=573cm/sec
TVフロー:Ew=80cm/sec Aw=72cm/sec 、E/A=1.11、TRフロー=3.55m/sec
LVOTフロー:AOv=92cm/sec、PEP=24ms、ET=126ms、PEP/ET=0.19
RVOTフロー:PAv=65cm/sec、PEP=36ms、ET=180ms、PEP/ET=0.2、加速時間=55〜66ms、減速時間=114ms
PA:AO=1:1

心不全の悪化を認める(重度の心臓弁膜症に伴う僧帽弁前尖の1次腱索断裂)
・重篤なMR、重度のTR、軽度のPRを認める

心臓弁膜症は重度であり、僧帽弁前尖の1次腱索断裂所見が認められる。これに伴い重篤なMR及び重度のTRがみられる。前回検査時と比較して、僧帽弁口部フローには上昇が認められ、左房拡大もさらに進行していることから、容量負荷は前回よりさらに重度の状態であると判断される。これにより、左房圧、左室圧が重度に上昇していると考えられる。心房心室間の圧較差は維持されて認められる。肺静脈拡張が依然明らかであり、肺うっ血が存在すると考える。TRの悪化とPRの発現から、肺動脈高血圧の傾向も合併し始めたと判断される。容量負荷のさらなる軽減が望まれるが、腎機能を維持を保ちながらの、前負荷の低減は困難である可能性が考えられる。心不全は代償期であるが、不全期との境界と推測される。心不全は前回より悪化しており、ISACHC クラス3aと判定される。内服はトラセミド増量もしくはフロセミドへの再変更をについて検討を要する。腎機能低下発現前にジゴキシンの併用が勧められる。急性心不全等により急激な全身状態の悪化をみる危険性が高い状態であると考えられ、短期的予後の可能性も否定できない。



| - | - | 19:08 | category: 僧帽弁閉鎖不全症 |
# 僧帽弁閉鎖不全症

(検査目的)2年程前、一般外来にて僧帽弁弁口部を最強点とした逆流性雑音が聴取され、心エコー検査(カラードップラー心臓超音波検査)を実施。僧帽弁閉鎖不全症と判断の上、塩酸ベナゼプリル投与開始。3ヶ月程前、散歩中に突然倒れたとの事で来院。再検査の上、ジコタリス、ジピリダモール、硝酸イソソルビド併用開始済。

(検査内容)心エコー検査(カラードップラー心臓超音波検査)

(投薬内容)ジキタリス、ジピリダモール、硝酸イソソルビド、塩酸ベナゼプリル

(検査結果)・エコー中に不整脈無し、心拍数125bpm
・重度のMRを認める(逆流は左房内全域)、重度のTRを認める(逆流は扇状で右房深部に到達)、今回PRは不明瞭
・僧帽弁肥厚(+)、プロラプス軽度(+)、弁尖逸脱(−)
・三尖弁肥厚軽度(+)、その他の弁に異常なし
・LA:AO=1.53:1.0(左房拡大(±)、進行なし) 肺静脈拡大(軽度+、9mm)、左心耳拡大(±)
・右房拡大(±)、後大静脈拡大(−)
・LV-fanc:FS=47%、LVPw:RVw=2.2:1.0
・左室遠心性拡大(±)、左室求心性肥大(−)、右室遠心性拡大(±)、LVIDd=23mm
・MV-フロー:Ew=53cm/sec 、減速時間(DT)=120ms、E-slope=平坦化・先鋭化 (−)Aw=40cm/sec 、E/A=1.32、等容積拡張時間(IVRT)=54ms、MRフロー=5.67m/sec
・TVフロー:Ew=66cm/sec 、DT=102ms、E-slope=平坦化・先鋭化(−)、 Aw=35cm/sec 、TRフロー=2.29m/sec
・LVOTフロー:AOv=100cm/sec、PEP=30ms、ET=204ms、PEP/ET=0.15
・RVOTフロー:PAv=49cm/sec、PEP=36ms、ET=234ms、PEP/ET=0.15、加速時間(AT)=96ms 、DT=138ms・PA:AO=1:1

軽度の心臓弁膜症に伴う重度の僧帽弁逆流(MR)および重度の三尖弁逆流(TR)

軽度の心臓弁膜症に伴い重度のMRとTRが認められる。逆流は重度だが、心房拡大は軽度であり、弁口部フローにも明らかな異常は認められない。左心室の遠心性拡大も明確でない。これらの所見から、現時点では容量負荷は軽度と考えられる。しかしながら肺静脈に拡張傾向があることから、肺うっ血の可能性は否定できない。左心室の収縮性は亢進しており、拡張性の低下は認められない。リモデリングは軽度と判断される。心不全は代償期であり、心不全分類はISACHC クラス1a〜1bの中間レベルと判断される。内服は現状維持が勧められる。




| - | - | 20:56 | category: 僧帽弁閉鎖不全症 |
# 僧帽弁閉鎖不全症

〔検査目的〕半年程前、一般外来にて聴診上、僧帽弁弁口部を最強点とする軽度の逆流性雑音が聴取され、ACE-I投与開始済(17歳8ヶ月齢)。一ヶ月程前に二度失神したとの事から心臓精査実施。

〔検査内容〕心エコー検査(カラードップラー心臓超音波検査)

〔投薬内容〕マレイン酸エナラプリル

〔検査結果〕・エコー中に不整脈無し、心拍数130〜160bpm
・重度のMRを認める(逆流は左房内全域)、重度〜重篤なTRを認める(逆流は右房内全域〜後大静脈内)、中等度のARを認める(逆流は線状で憎帽弁前尖端に到達)、軽度〜中等度のPRを認める(逆流は線状で右室深部到達なし)
・僧帽弁肥厚(++)、プロラプス(++)、弁尖逸脱(−) ・三尖弁肥厚(+)、プロラプス(+)
・LA:AO=2.2〜2.3:1.0(中等度の左房拡大) 肺静脈拡大(−、7mm弱)、左心耳拡大(+)
・右房拡大(+)、後大静脈拡大(+)
・LV-fanc:FS=53%、LVPw:RVw=2:1
・左室遠心性拡大(+)、右室遠心性拡大軽度(+)、LVIDd=28mm
・MV-フロー:Ew=127cm/sec 、減速時間(DT)=102ms、E-slope=平坦化(±) Aw=121cm/sec 、E/A=1.05、等容積拡張時間(IVRT)=24ms、MRフロー=6.0m/sec
・TVフロー:Ew=97cm/sec 、DT=138ms、E-slope=平坦化(±)、 Aw=70cm/sec 、E/A=1.39、TRフロー=3.0m/sec
・LVOTフロー:AOv=111cm/sec、PEP=30ms、ET=156ms、PEP/ET=0.19、ARフロー=3.92m/sec
・RVOTフロー:PAv=71cm/sec、PEP=36ms、ET=150ms、PEP/ET=0.24、加速時間(AT)=42ms 、DT=108ms、PRフロー=計測困難 ・PA:AO=1:1

中等度〜重度の心臓弁膜症とそれに伴う重度の僧帽弁逆流(MR)、重度の三尖弁逆流(TR)、中等度の大動脈弁逆流(AR)、軽度の肺動脈弁逆流(PR)

重度の心臓弁膜症があり、弁運動性異常は重度に認められる。これに伴い重度のMR及び重度のTRが認められる。中等度のARと軽度のPRも認められる。僧帽弁口部フローは明らかに上昇しており、左房拡大も中等度にみられることから、容量負荷の明らかな上昇が示唆される。左心室も遠心性に拡大し、容量負荷上昇を示して認められる。心房心室圧は上昇していると考えるが、圧較差は維持されている。しかしながら肺動脈高血圧の傾向が認められ、肺水腫のリスクが高いと考える。また、右心不全に伴ううっ血性全身症状が明らかとなる可能性が充分に認められる。現時点では心不全は代償期であり、心不全分類はISACHC クラス1bと判断する。内服はACE-Iに加えて、硝酸イソソルビド、スピロノラクトン、βブロッカーあるいはジゴキシン併用の検討を要する。日常的なフロセミド使用、ピモベンダン使用が近い将来必要となると考える。内服薬は1種類ずつ開始時期をずらし、低用量から慎重に増量、併用を行うことが勧められる。


| - | - | 10:32 | category: 僧帽弁閉鎖不全症 |
# 僧帽弁閉鎖不全症

〔検査目的〕近医にて逆流性逆流性雑音を指摘され、心臓病薬の服用を検討中との事で来院。血行動態を確認する事を目的とし、当院にて心臓精査を実施し、僧帽弁閉鎖不全症と判断。ACE-Iを服用開始の上での定期検査(前回検査7ヶ月前)。

〔検査内容〕心エコー検査(カラードップラー心臓超音波検査)

〔投薬内容〕塩酸ベナゼプリル

〔検査結果〕・エコー中に不整脈無し、心拍数100〜130bpm
・重篤なMRを認める(逆流は肺静脈に到達)、重度のTRを認める(逆流は右房内広範)、軽度のPRを認める(逆流は弁口部に限局)
・僧帽弁(+)〜(++)、プロラプス(+)〜(++)、弁尖逸脱(−)
・三尖弁肥厚(±)、三尖弁プロラプス(+)
・LA:AO=2.65〜2.95:1.0(中等度以上の左房拡大) 肺静脈拡大(+、10mm)、左心耳拡大(+)
・右房拡大(軽度+)、後大静脈拡大(±)
・LV-fanc:FS=41%、LVPw:RVw=1.8:1.0
・左室遠心性拡大(++)、右室形態ほぼ正常、LVIDd=41mm
・MV-フロー:Ew=123cm/sec 、減速時間(DT)=108ms、E-slope=平坦化・先鋭化(−) Aw=62cm/sec 、E/A=1.98、等容積拡張時間(IVRT)=54ms、MRフロー=5.97m/sec
・TVフロー:Ew=88cm/sec 、DT=144ms、E-slope=平坦化(+)、 Aw=56cm/sec 、E/A=1.53、TRフロー=3.05m/sec
・LVOTフロー:AOv=104cm/sec、PEP=42ms、ET=120ms、PEP/ET=0.35
・RVOTフロー:PAv=63cm/sec、PEP=36ms、ET=156ms、PEP/ET=0.23、加速時間(AT)=54ms 、DT=102ms ・PA:AO=1:1

中等度の心臓弁膜症とそれに伴う重篤な僧帽弁逆流(MR)および重度の三尖弁逆流(TR)

中等度の心臓弁膜症に伴い重篤なMRと重度のTRが認められる。左房拡大は明らかであり、肺静脈拡大と僧帽弁口部Ewの増高を伴うことから、容量負荷上昇は重度と判定される。これにより左室遠心性拡大も明らかである。左室収縮性の低下傾向が見られるが、左房圧上昇はさほど強くないと考える。右心系は現時点では容量負荷上昇や心室運動性の異常が認められない。TRがみられるが、肺高血圧に伴うものとは判断されない。心不全は代償期であり、心不全分類はISACHC クラス1b と判定される。リモデリングが明らかであり、積極的な内科的治療の実施が勧められる。内服はACE-Iに加えてジゴキシン、スピロノラクトン、硝酸イソソルビドの併用をスタートすることが勧められる。内服薬は1種類ずつ開始時期をずらし、低用量から慎重に増量、併用を行うことが勧められる。



| - | - | 21:53 | category: 僧帽弁閉鎖不全症 |
# 肥大型心筋症

〔検査目的〕一ヶ月位前から咳が出るという事で、一般外来にて来院。聴診上、逆流性雑音が聴取されたため、心臓精査の必要性を説明。

〔検査内容〕心エコー検査(カラードップラー心臓超音波検査)

〔投薬内容〕なし

〔検査結果〕・エコー中に不整脈無し、心拍数160〜180bpm
・重度のMRを認める(逆流は扇状で左房深部到達)、重度のARを認める、ごく軽度のARを認める
・僧帽弁形態に異常なし、プロラプス(−)、弁尖逸脱(−)、SAM(+)
・三尖弁他の弁の形態、運動性に異常なし
・LA:AO=2.0〜2.3:1.0(軽度の左房拡大)、肺静脈拡大(−)、左心耳拡大(+)、左房内血栓(−)
・右房拡大(−)、後大静脈拡大(−)
・LV-fanc:FS=48〜54%、LVPw:RVw=3.9:1.0
・左室遠心性拡大(−)、左室求心性肥大(+)、左室心内膜不整肥厚(+)、右室形態正常
・LVPWd=6.7〜7.7mm、IVSd=5.8〜6.6mm、LVIDd=最大17mm
・MV-フロー:Ew+Aw=186cm/sec、等容積拡張時間(IVRT)=78ms、MRフロー=5.70m/sec
・TVフロー:正常
・LVOTフロー:ASフロー=6.10m/sec
・RVOTフロー:PAv=66cm/sec、PEP=48ms、ET=156ms、PEP/ET=0.30、加速時間(AT)72=ms 、DT=102ms
・PA:AO=1:1

対称性肥大型心筋症(心内膜の不整な肥厚を伴う)/大動脈弁下部狭窄及び重度の僧帽弁逆流(MR)を伴う

心室中隔壁及び左心室自由壁の肥厚が認められ、ほぼ対称性の肥大型心筋症と判断する。左心室内心内膜には不整な肥厚がみられ、拘束型心筋症にやや類似する。心室中隔の左室流出路部の肥厚、突出により、大動脈弁下狭窄が重度に認められる。僧帽弁の形態には異常は認められないが、心筋症に伴う重度のMRがみられ、僧帽弁前尖の収縮期前方運動(SAM)を伴う。SAMの影響で、心室中隔の左室流出路心内膜は重度に肥厚して認められる。これらの問題に伴い、左心室拡張性低下、左心系容量負荷上昇、左室圧負荷上昇が存在する。心不全は代償期と判断する。内服はアテノロールの投与開始が勧められる。左室流出路狭窄があるため、ACE-Iや硝酸イソソルビドなどの血管拡張薬の投与にはリスクを伴うが、併用開始が可能となれば、用量負荷軽減のために有用であると考える。ACE-I投与開始に際しては、通常投与量の1/4程度から開始し、全身状態を観察しながら規定量までモニターすることが勧めらえる。ACE-Iが許容された場合、フロセミド低用量、硝酸イソソルビド、スピロノラクトンの併用開始について検討検討を要する。さらに経過によっては、カルシウムチャンネルブロッカー併用、アテノロールからカルベジロールへの変更、フロセミド増量、トラセミドへの変更を検討が必要となるものと考える。血栓症の予防のため、ルンワン、ペルサンチン、クロピドグレル等の投与が勧められる。病態が複雑である事から、内服開始については、順次、低用量から血行動態を確認しつつ、慎重な処方が必要である。

| - | - | 08:39 | category: 肥大型心筋症 |
# 僧帽弁閉鎖不全症

〔検査目的〕当院での心臓精査により、主たる病態は重度の心臓弁膜症に伴う重篤な僧帽弁逆流と判断済。定期検査2回目(前回検査1ヶ月前)

〔検査内容〕心エコー検査(カラードップラー心臓超音波検査)

〔投薬内容〕塩酸ベナゼプリル・ジギタリス・トラセミド・スピロノラクトン・硝酸イソソルビド、他、ウルソデオキシコール酸

〔検査結果〕・エコー中に不整脈無し、心拍数100bpm前後
・重篤なMRを認める(逆流は肺静脈内に到達)、中等度のTRを認める(逆流は線状で、右房深部到達(±))、ごく軽度のPR、ごく軽度のARを認める
・僧帽弁肥厚(++、疣贅形成+)、プロラプス(+)、弁尖逸脱(−)
・三尖弁肥厚(±)、弁閉鎖位置は弁輪レベル
・LA:AO=1.58〜1.80:1.00(軽度の左房拡大、同程度)、肺静脈拡大=11.4mm(縮小)、左心耳拡大軽度(+)。右房拡大(−)、後大静脈拡大(−)
・LV-fanc:FS=51〜54%前後、LVPw:RVw=2:1
・左室遠心性拡大(++)、右室形態ほぼ正常、LVIDd=25〜27mm(縮小)
・MV-フロー:Ew=98cm/sec、DT=120ms、EFスロープ先鋭化・平坦化(−)、 Aw=108cm/sec 、E/A=0.91、等容積拡張時間=90ms、MRフロー=567cm/sec(前回より上昇)
・TVフロー:Ew=36cm/sec、Aw=33cm/sec、TRフロー計測困難
・LVOTフロー:AOv=60cm/sec(不正確)、PEP=36ms、ET=156ms、PEP/ET=0.23
・RVOTフロー:PAv=45cm/sec、PEP=42ms、ET=277ms、PEP/ET=0.15、加速時間=120ms、減速時間=156ms
・PA:AO=1:1

重度の心臓弁膜症に伴う重篤な僧帽弁逆流(MR)、中等度の三尖弁逆流(TR)
・左房圧は低下、左心系容量負荷は前回より減少、左室拡張性が低下

弁膜症は重度であり、これに伴って重篤なレベルのMRがみられる。TRは中等度である。これらの病態は前回検査と比較して著変は認められない。心拍数が前回より大幅に低下して認められる。僧帽弁口部フローは前回より低下して認められる。肺静脈は拡張しているが、前回より軽減して認められる。さらに左心室の遠心性拡大も軽減して認められる。これらの所見から容量負荷上昇が軽減していると考えらる。MR流速が上昇しており、左房圧の低下が示唆される。前回検査結果と比較して概ね良好な結果が得られたが、左室拡張性のみ悪化を示す結
果が認められる。この病態について今後の変動に注意を要する。大動脈流速は明らかに低下しており、左室拍出不全が示唆されるが、確定的な判断には至らない。真の拍出低下であるとすると、心不全は不全期と判定されるが、その他の情報を考慮すると代償期と考える。心不全の重症度はISACHC クラス1bと判定される。検査結果と全身状態が良好であるため、内服は現状(ジゴキシン、トラセミド、スピロノラクトン、硝酸イソソルビド、ACE-I)の維持が適当と考える。



| - | - | 00:37 | category: 僧帽弁閉鎖不全症 |
# 洞性頻脈

 〔検査目的〕一般外来にて、聴診上、最高心拍数280rpm、逆流性雑音が聴取され、心エコー検査により弁膜症を伴わない洞性頻脈と判断。カルベジロール投薬治療開始の上、定期検査(前回検査3ヵ月前)。

〔検査内容〕心エコー検査(カラードップラー心臓超音波検査

〔投薬内容〕カルベジロール、他、アレルギー性皮膚炎に対してセファレキシン・副腎皮質ホルモン・塩酸ヒドロキシジン

〔検査結果〕・エコー中に不整脈無し、心拍数100〜130bpm
・軽度のMRを認める(逆流は線状で左房深部到達なし)。ごく軽度のPRを認められる。
・各弁の形態に異常なし。僧帽弁閉鎖位置は弁輪レベルより
・LA:AO=1.7〜1.8:1.0(左房拡大軽度+、やや進行) 肺静脈拡大(±、8.1mm)、左心耳拡大(−)
・右房拡大(−)、後大静脈拡大(−)
・LV-fanc:FS=41〜44%、LVPw:RVw=2:1
・左室遠心性拡大(±)、左室求心性肥大(−)、右室形態正常、LVIDd=27〜28mm
・MV-フロー:Ew=77cm/sec 、DT=156ms(先鋭化、平坦化なし)、 Aw=53cm/sec 、E/A=1.46、等容積拡張時間=54ms、MRフロー計測困難
・TVフロー:正常
・LVOTフロー:AOv=112cm/sec、PEP=30ms、ET=180ms、PEP/ET=0.17
・RVOTフロー:PAv=137cm/sec、PEP=36ms、ET=186ms、PEP/ET=0.19、加速時間=78ms、減速時間=108ms
・PA:AO=1:1

ごく軽度のMR(弁膜症は明らかではない)。今回検査では病的な洞性頻拍は認められない。

心臓弁膜症の所見は依然として認められない。軽度のMRが認められるが、前回よりわずかに逆流量が増加している可能性がある。軽度に左房拡大が認められ、前回より若干進行して認められる。弁膜症の進行、逆流のさらなる増加には注意を要する。内服は現在のカルベジロールに加えてACE-I併用が勧められる。




| - | - | 11:37 | category: その他の循環器疾患 |
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